Dr. Jörg Prechtel

単一効特許と統一特許裁判所は、ブレキジット(Brexit)にもかかわらず定められる!

27.02.2017

2016年6月24日と 2016年年9月26日の私どものニュースのアップデート

1. 新たな事実

- イギリス政府は意外にも2016年11月28日に統一特許裁判所に係わる協定(UPC 協定)を出来るだけ早期に発効できるよう、同協定を批准する意思がある旨の声明を発した。

- 2016年12月9日にドイツ連邦政府は批准法案を連邦参議院に送付することにより、批准手続きを開始した。連邦参議院と連邦議会は、2017年3月末までに同批准法案を承認する見込みである。

– 2017年1月16日にUPC 準備委員会は


                                               2017年12月
 
にUPC協定が発効し、統一特許裁判所 (UPC)が業務を開始するであろうと発表した。

UPCの業務開始前に欧州特許権者/特許出願者がオプトアウト宣言を出すことにより
当該特許権/特許出願をUPC の管轄から離脱させることが可能となる期間 (sunrise period) は                           


                                               2017年9月

に始まる見込みである。

- 2017年1月17日にイギリスのテレサ・メイ首相は演説において、欧州連合とのブレキジット交渉の基本となる12項目計画を発表した。

第2項の抜粋は以下の通りである:

 2. 立法監査

 「… 我々が再び我々自身の法律に対し責任を負うことになり、イギリスに対する欧州  司法裁判所 (EuGH)の管轄が終わることになる。欧州連合からの離脱は、我々の法律が再びウェストミンスター、エディンバラ、カーディフとベルファストで作成されることを意味する。そしてこれらの法律はルクセンブルクの裁判官ではなく、我々の裁判所により審査されることになる…」

またイギリス政府は欧州連合からの離脱申請(リスボン条約第50条)を2017年3月に行う旨を通告した。それゆえに離脱 (Brexit)は、2019年3月に有効となるであろう。.

- 2017年2月10日にイタリアが第12番目の加盟国としてUPC協定を批准した。


2. 私どものコメント

- 2017年末の新制度の開始
フランスを含む12の加盟国がすでにUPC協定を批准していることを理由に、少なくともフランス、ドイツ及びイギリスを含む13の加盟国による批准という同協定の発効に必要な要件は、ドイツとイギリスが同協定を批准することにより満たされることになる。ドイツ政府とイギリス政府 がUPC協定を迅速に批准することを通告していることを理由に、現状においては統一特許裁判所は2017年末に業務を開始することが見込まれる。

この時点から特許付与通知の公開後1ヵ月以内に欧州特許裁判所に必要な申請を行うことにより、単一効特許も取得することができるようになる。少なくとも6ヵ月の移行期間中に特許明細書の完全な翻訳文も提出しなければならない。特許明細書の言語がフランス語またはドイツ語である場合には英語への翻訳が、また特許明細書の言語が英語である場合には、欧州連合のその他公用語の一言語への翻訳が必要になる。

- ブレクジット(Brexit)後の状況

同様に2019年に見込まれるブレクジット(Brexit)後に統一特許裁判所は一体どうなるのであろうか?

UPC協定の中心項目は、欧州連合法の優先性 (UPC協定第20条)及び統一特許裁判所と欧州司法裁判所  (EuGH) の協力 (UPC協定第21条と統一特許裁判所定款第38条)である。例としてスイスのような欧州連合以外の国の参加も予定していた欧州特許裁判所制度に係わる以前の提案は、「最終判決を下す」ことに固執した欧州司法裁判所により空振りに終わった。

欧州連合法の優先性と欧州司法裁判所の関与は上述のように、イギリス政府によるブレクジットに係わる12項目計画に明らかに矛盾している。現状では如何にしてこの矛盾を解決できるかは不明である。場合によってはイギリス政府が統一特許裁判所の特殊事案において、欧州司法裁判所の関与を受諾するかも知れない。上述の2016年11月28日付けの声明において統一特許裁判所を欧州連合の機関ではない国際特許裁判所と称していることを理由に、イギリス政府はこの方向へ進む意思を強めているようである。

- オプトアウト宣言の「sunrise period」
欧州特許権者/特許出願者は統一特許裁判所の業務開始前に、上述のオプトアウト宣言を行うか考慮すべきである。例として特許侵害者のような第三者により統一特許裁判所に欧州特許に対する無効の訴が提起されるならば、特許権者はオプトアウト宣言を行うことができなくなる。

国内裁判所において訴が係属中でない限りにおいて、オプトアウト宣言は事後に撤回することもできる (オプトイン宣言)。オプトアウト宣言とオプトイン宣言には当局の手数料はかからない。

<- Back to: ニュース